一級自動車整備士 過去問 令和7年 No.1 エンジン電子制御装置
問題本文
図の①から⑩は、コモン・レール式ジーゼル・エンジンにおける、
「温間時、通常回転速度時(加速『増量』と減速『減量』補正)モード」時のデータを外部診断器のデータ・モニタ機能を用いて表示したものである。
図の⑦から⑩のデータのうち、この運転制御モードに該当しないものの組み合わせは、(1)から(4)のうちどれか。

(1) 「⑦燃料圧力信号」、「⑧燃料噴射量信号」
(2) 「⑧燃料噴射量信号」、「⑨燃料噴射時期信号」
(3) 「⑧燃料噴射量信号」、「⑩ポンプ電流目標値信号」
(4) 「⑨燃料噴射時期信号」、「⑩ポンプ電流目標値信号」
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解答
(2)「⑧燃料噴射量信号」、「⑨燃料噴射時期信号」
解説
この問題の正解は
(2)「⑧燃料噴射量信号」と「⑨燃料噴射時期信号」です。
この問題は、各信号が単独で正しいかを見る問題ではありません。
重要なのは、「運転状態に対して各信号が自然に連動しているか」を確認することです。
まず前提として、このモードは
・加速時 → 燃料が増える(増量)
・減速時 → 燃料が減る(減量)
という制御です。
したがって、燃料に関係する信号は、アクセル開度やエンジン回転速度と連動して変化する必要があります。
ここで各信号の役割を整理するためにテキストを参照します。
⑥ アクセル開度信号
アクセル開度信号は、アクセル・ペダルの操作は全踏み込みで、アイドル回転速度のアクセル開度17%付近から、73%付近に上昇して、その開度を維持した後、アイドル回転速度と同じくアクセル開度17%付近で一定を維持する。
⑦ 燃料圧力信号、⑩ポンプ電流目標値信号
アイドル回転速度の、28000kPa付近から燃料噴射量増に合わせて,燃料圧力制御が急激に140000kPa付近に上昇し,80000kPa付近で推移した後,燃料噴射量減に合わせて,アイドル回転速度の,28000kPa付近に戻る。
⑧ 燃料噴射量信号
アクセル開度の急上昇に合わせて、燃料噴射量は、アイドル回転速度の10mm3/str付近から50mm3/str付近に上昇した後、20mm3/str付近まで低下し、更にアクセル開度急低下に合わせて、0mm3/str付近まで低下し、更にアイドル回転速度の10mm3/str付近に戻る。
⑨ 燃料噴射時期信号
アイドル回転速度の7° CA付近から燃料噴射量増に合わせて,-10° CAに遅角し,燃料噴射量減に合わせて,-10° CA→0° CA付近→7° CA付近に戻る。
⑩ポンプ電流目標値信号
サプライ・ポンプのポンプ電流目標値信号は,アイドル回転速度の1000mA付近から燃料噴射量増減に合わせて,1500mA付近に上昇し,1300mA付近を推移した後,アイドル回転速度の1000mA付近に戻る。
次に波形の関係を見ます。
アクセル開度(⑥)は大きく変化しているため、
それに対応して燃料噴射量(⑧)も変化するのが正常です。
しかし図では、
・アクセル開度は変化している
・しかし燃料噴射量の変化の仕方が不自然
となっています。
つまり、主役である噴射量が正しく連動していません。
さらに、燃料噴射時期(⑨)についても、
本来は回転数や負荷に応じてある程度変化する必要があります。
しかし図では、
・回転数や負荷が変わっているにもかかわらず
・噴射時期の変化が不自然
となっています。
一方で、ポンプ電流目標値(⑩)は燃料圧力(⑦)との関係で見る必要がありますが、
図では大きく外れているとは断定しにくく、「完全に不適切」とまでは判断できません。
以上より、
・主役なのに動きが合っていない「⑧燃料噴射量」
・補正として不自然な「⑨燃料噴射時期」
この2つが、この運転モードに該当しない信号となります。
まとめ
この問題は
「個々の波形の形を見る」問題ではなく
「信号同士のつながり(因果関係)が正しいか」を見る問題です。
その関係が崩れているのが⑧と⑨なので、
正解は(2)となります。


